5代目の山岳迷走記第3章 山岳迷走記の目次ページへ
@山歩きはじめの一歩 高低差の少ない林道歩きで出会える滝
今回のテーマ 「子供や山歩き初心者でも楽しめるコースを考える」
  滑川大橋付近に駐車〜鶴岩&亀滝〜平小屋(たいらごや)の滝〜滑川大橋
                                       散策日 2008年9月5日
地図はこちら

 山歩きする人が増えることを祈って、コースの提案と踏査報告を少しずつ進めようとしている
のだが順番を間違っていたかも知れない。自分は普段、道などない山に入っては山菜採りをし
ているものだから、登山道を歩くことは単調で冒険性が薄いなどと考えるようになってしまって
いた。ヤブ山に入って新しい発見があるととても楽しい。登山道は歩く先に何があるか分かっ
ている。そんな感じである。しかし、人によって体力や歩行技術などに差異があるのは当然で
あり、むしろ初心者に易しいコースを提案して、その後いろいろなレベルのコースを考えるべき
である。

 話は変わるが、自分は隣の板谷駅近くの小学校に通っていた。遠足は当然山歩き。
1・2年生 板谷小学校〜五色温泉〜板谷小学校
3・4年生 峠駅〜滑川温泉〜五色温泉〜板谷小学校
5・6年生 峠駅〜滑川温泉〜姥湯温泉〜滑川温泉〜五色温泉〜板谷小学校
子供というのは大人が思うよりはるかに立派に歩けるものだ。そして、この小学校の時の遠足
を参考に初心者、子供連れで歩けるコースを考えた。実は、滑川温泉〜五色温泉の林道には
地図に載らない滝があるのだ。この林道は自動車通行止めということもあり、今では林業関係
者やバイクツーリストなどの少数の人しか知らない。情報が少ない分冒険性が高いと考えるこ
とができたら楽しいと思う。とはいえ、山の頂上を目指す登山道とは違い、高低差の少ない林
道歩きだから、初心者や子供連れにピッタリ。

 滑川大橋付近に駐車 〜 鶴岩&亀滝 〜 平小屋(たいらごや)の滝 (大人で30分)
 平小屋の滝 〜 鶴岩&亀滝 〜 滑川大橋 (大人で30分)

遠足気分でまずは持ち物の準備から
おやつ・飲み物 大人の山歩きでもおやつ(行動食という)は大事。山の中で空腹でいると判断
を誤り事故を起こしやすい
カメラ 目指す滝はぜひ写真を撮りたい
ラジオ 音を出すのが目的。まず問題ないと思うが磐梯朝日国立公園エリアであり、熊はいて
も鉄砲打ちはいない。歌を歌ったり、呼子を吹くという手もある。ノイズで雷の発生もわかる
雨具 山の気象は急変しやすい
手袋・シャツズボンは多少よごれるつもりで 林道から滝まで膝上くらいの草場を3分くらい歩く
救急用品や虫よけスプレー 虫に刺されると楽しさが半減してしまう
ヘッドランプか懐中電灯 少し荷物が増えるが安心も増える

さあ出かけよう。5代目の同伴者、子供の代わりにギボシ丸君に依頼した


8:20峠駅前出発 〜 8:30滑川大橋

初心者、子供連れという設定で歩き始めは滑川とし、自動車で滑川に向かう。途中林野庁の
看板を撮影。


中央部拡大

左下の滑川から新五色林道を歩く。沢が何本か林道と交わるが、「滝ノ沢」というのが別名「平
小屋沢(たいらごやさわ)」つまり「平小屋の滝」がある沢である。

 
滑川大橋の上に、しっかりと五色温泉の名のある看板。このあたりのスペースに駐車する。林
道は年々荒廃。峠〜滑川間の車道が主要道となり、かつての主要道だった新五色林道は復
旧しないままの悪路のため車両通行止め。四輪車は通行不可。単車で走行する人もいるし、
もちろんハイキングにも使われている。
※参考 ***2006年設置、現峠駅構内の地図***

今年度は親切なことに「落石、倒木危険」とテープが張ってある。とはいえ本当に危険なのはこ
の先にある林道わきの「鶴岩」くらい。


歩き始めて1分。林道の左手に見えるのが「亀滝」。朝霧が濃い。そして林道右手に亀と対とな
る「鶴岩」


林道にいるワンちゃんがとても小さく見える岩

8:32鶴岩(五色側から撮影)

実はこの岩壁に名前があるのを知ったのはつい1週間ほど前。山歩きのコースを考えるため
に「滑川温泉」のHPを読んでいた時である。


ゲリラ豪雨など最近の荒い気象で路肩流出。4輪車は通れない。


歩き始めて5分。林道と高倉沢が交差する。この沢の源頭は高倉山。夏場には、沢登りをする
人もいる。『高倉沢』で検索すると山岳会の沢登りのレポートが見られる。

しばらく、林道と前川本流が並行する。前川の赤い一枚岩の上の流れを見ながら林道を進
む。


林道と前川本流が離れ、水音がなくなる。歩き始めて12分。沢の音が聞こえてくる。金吾沢
(ギンゴ沢)と交差。この沢も沢登りに使われるようだ。『ギンゴ沢』で検索し沢登りレポートを見
ることができる。ここから道は登り始める。ギボシ丸君においていかれる。


ギボシ丸君は山に駆け上がって藪に消えていっては定期的にこちらの動向を見にまた降りてく
る。こちらの荷物を少しは持ってもらいたいと頼んでみたが、そっぽを向かれた。


歩き始めて30分。平小屋沢(滝ノ沢)に到着。空身のギボシ丸君は当然先に着いている。滝
は、林道から木立の間に見える距離にある。ここから滝まで3分ほど。沢に入り滑らないように
上るか、沢の脇に広がるひざ丈の藪を進むことになる。


午前9時をまわったが、霧が晴れない。滝は目の前にあるのに。


ギボシ丸君が先着している。カメラを上に向ける。


9:00平小屋の滝 滑川大滝を小さくしたようなナメ岩を走る滝である。


ギボシ丸君は滝に見入っている。こちらはしばらく撮影会。















 
滑川大滝のある大滝沢は大滝上部に鉄を掘っていた鉱山跡があり、鉄成分が流れ出し、岩な
ども赤茶けている。(7月29日レポート参照)また、滝つぼが発達し泳げる沢である。滑川大滝
は単体でベストの被写体になると思う。それに比べ平小屋の滝は苔むした沢石や木立などを
被写体に組み込んで撮影したほうが滝の表情・雰囲気を味わうことができると思う。



11:00平小屋の滝 〜 11:30滑川大橋&亀滝




しかし、いつ見ても素晴らしい一枚岩である。亀滝の上の緩斜面の部分は天然のウォータース
ライダーになる(この急角度の滝を滑り落ちる勇気は残念ながらない)。というか鼻たれ小僧の
頃は実際ここのつぼで河童と化していた。


旅の終わり。滑川大橋から見た大滝沢。この上流に五階滝(名前相当の滝かは微妙)、滑川
大滝、さらに潜滝などがあり、サワヤ(山登りをする人ヤマヤに対して沢登りをする人)が集ま
る沢である。


  参考データ
自動車利用の場合出発地(滑川)に戻ることになる。電車と歩きで峠駅発・平小屋の滝行きの
場合、峠駅に引き返すルートと五色温泉経由板谷駅着のルートがある。(滝から五色温泉まで
30分、五色温泉から板谷駅まで2時間)

※峠駅から滑川大橋まで徒歩だと1時間
滑川大橋 (30分) 平小屋の滝 (30分) 滑川大橋
滑川温泉は橋から5分


                                                2008.9.6作成




5代目の山岳迷走記第4章 山岳迷走記の目次ページへ
A沢歩きはじめの一歩 犬を抱えて滝詣で
今回のテーマ 「お客様の問い合わせに対しての滝探し」
  滑川大橋〜大滝沢出合〜F1五階滝〜滑川大橋
                                       散策日 2008年9月18日
地図はこちら

 温泉に限らず、山をのんびり楽しんでもらいたい、汗をかいて歩いてもらいたいと思い、自分
が歩いてレポートを書くことを始めたが、良くも悪くも反響がでてきた。店に来られた方が滑川
大滝に興味を示されるので「展望台まで歩いて20分」と言うと眉をしかめられる。いたって健康
そうな人ですら。ふと思い出す。I県にある有名な某F滝は車で乗りつけられなおかつ、エレベー
ターがあるとかないとか。何かがおかしいと思う。そういう滝も一つくらいあってもいいと思う。一
つあれば十分だと思う。山に来たなら歩くのが当たり前という感覚が失われたのだろうか。愚
痴っても仕方がない。歩く人が増えることを願い、歩いてみたくなるようなレポートを続けるのみ
である。

 そんなある日、自分(5代目)の山歩きレポートに興味を示された方からメールが届いた。「
を歩いてみようと思い、滑川温泉に連泊を考えているのだが、滑川温泉のHPに書いてある
『五階滝』にはどうしたら行けるのだろうか」というような内容であった。

滑川温泉さんのHP

そこにある説明書き

―――五階滝です。
現在もその名前だけは残っていますが、地図にも記載されず、知る人のみぞ知る名所になっ
ています。―――

地元に住む自分(5代目)の回答。「なるほど確かに知る人のみぞ知る名所かもしれないが、
限られた人だけが近付ける難所というわけではない

ということで「迷走記第3章・山歩きはじめの一歩」に続き今回は「迷走記第4章・沢歩きはじめ
の一歩」を実行した。このレポートを参考に山歩きを楽しんでいただけたら幸甚である。



第3章最後の写真『大滝沢出合』がそのまま今回の出発点。そう『五階滝』はこの大滝沢内に
ある。出発前に、一応「はじめの一歩」装備から
ゴム長靴 長靴で長距離長時間は足に負担がかかるが、五階滝はそんなに遠くない所にあ
る。長靴で十分。ただし、沢歩きは乾いた場所か沢の中を歩くのが基本である。沢に入るのを
嫌がって濡れた岩の上を歩いたりすると滑って頭を打ったりする。そうならないためには靴の
中に水が入ったとしても沢の中を歩くべきなのである。ゴム長靴はあくまでゴムのすべり止め
効果を得るための選択。五階滝を見るためにはひざ下程度まで濡れる沢歩きを強いられる。
ゴム長を履いても水が入ってくる。それでこそ沢歩きである。
手袋(軍手) 足場が滑りやすい分だけ手も重要。けがをしないように。
その他 第3章の林道歩きを参照 五階滝の奥に入る場合はフェルト底の沢シューズ、ヘルメ
ット、ロープとそれなりのものが必要になるが、五階滝でUターンならいらない。


5:15峠駅前出発 〜 5:25滑川大橋

今回は沢歩きである。静々と出発しようとしたがギボシ丸君に見つかってしまった。ギボシ丸君
は基本的に滑りやすいナメ床歩きが苦手なのだが、今日はどうしたものかちぎれんばかりに
尻尾を振ってアピールしている。数瞬考え、結局連れて行くことにした。



大滝沢出合から入渓(沢・渓流に入ること)。気合いが入ってるギボシ丸君は露払いである。



沢はスラブ(一枚岩)となっていて、大岩がごろごろ。乾いているところをスイスイと進む。



スラブが傾斜をもち、濡れていて歩きにくくなる。大岩の上によじ登り進む。



ギボシ丸君は自分で越えられず停滞している。犬を抱え込んで先のゴーロまで進む。両手が
ふさがった状態で安全なルート。膝まで水につかり沢を歩く。ワンちゃんは憎らしいことに、こち
らの腕の中であくびなどしているではないか。



ゴーロにて。ギボシ丸君を抱えて、転ばないようにと神経をすり減らしてきたこちらはヘロヘロ。
それなのにギボシ丸君は景観を楽しむこの余裕。



遡行約15分で、なにやら目的のものが見えてきたような。



こちらの腕の中でヌクヌクしていたギボシ丸は、体力が有り余っていて、すでに先行している。
そのうえ、こちらに「遅いぞ!なにをやっているんだ!」と自分がこの場を仕切り始めた。



5:45五階滝 到着



下2段(3段にも見えるが)



滝そのものよりも大きく、かつ静かな釜に感動した。腰までの深さがある。泳ぐのに支障はない
くらいの深さである。子供の遊び場によさそうではある。(ここまで連れてくるのがちょっと大変
だが)



滝の正面は逆層のスラブ。傾斜約50度。滑り落ちそうになりながらの一枚。落ちたら、腰まで
の深さの釜にドボン。
写真左のテラスには木や草をロープ代りに使って登れる。



6:00テラスに登る 枝沢(カモシカ沢)の滝が3段。ちょっと水量が物足りないが。本流の流
れは左側になる。
そして、3枚の写真をつなぎ合わせて………



五階滝全景。カメラを固定していなかったので、3枚の写真が微妙に合わないのはご容赦のほ
どを。この角度だと6段?7段?に見えなくもないが、あまり細かいことは気にしない。

この先には滑川大滝など大小の滝があるが、ロープやハーケンといった装備も入り用になる。
登山道歩きなら熊レーダーとしての仕事があるギボシ丸も沢歩きでは本当に重荷である。(実
際腕に抱えて遡行する一幕もあった)これ以上犬を抱えて遡行を続ける気もないし、今回の目
的は達成したということで引き返す。



ギボシ丸君は映画の主人公を演じているみたいだ

助演男優(5代目)は、再び主人公を抱えて沢を下る。



大滝沢出合から滑川大橋の下をくぐり、

6:20鶴岩(滑川側から撮影)

五階滝でテラスに登る時間を含めても1時間ほどで終わった。参考までに、この写真の奥、徒
歩30分で平小屋の滝(迷走記第3章)。二つを組み合わせて歩いても2時間半から3時間。帰
りにここから(鶴岩)5分の滑川温泉に入るもよし、もう1つ滑川大滝まで歩く気になったらあな
たは山歩きの中級者です。


  参考データ
※峠駅から滑川大橋まで徒歩だと1時間
滑川大橋 (沢歩き技術の程度により15〜20分) 五階滝 (15〜20分) 滑川大橋
滑川温泉は橋から5分


                                                2008.9.18作成