峠の力餅、峠駅構内営業

  奥羽本線開通直後、明治34年から”峠の力餅”を峠駅にて販売を始めて
  100余年。汽車から、電車に代わり、旅の情緒をあまり感じなくはなりましたが、
  ”峠の力餅”はますます健在。スイッチバックが廃止され、トンネル内
  (正しく言えばスノーシェッド内)にプラットホームがあるという、ちょっと
  異世界へ飛び込んだような峠駅で、今日も変わらず力餅を売る声が響き渡ります。

   
 
峠 駅 時 刻 表 (2008年3月15日現在)
《下り》 福島ー山形ー新庄ー秋田ー青森
列車番号
福島発
赤岩発
峠発
米沢着
427M
7:12
7:29
7:42
7:59
433M
8:08
8:26
8:39
8:58
441M
12:54
13:11
13:23
13:40
451M
15:56
16:13
16:26
16:44
459M
19:08
19:25
19:38
19:55
465M
21:10
21:27
21:41
21:59
《上り》 青森ー秋田ー新庄ー山形ー福島
列車番号
米沢発
峠発
赤岩発
福島着
420M
7:18
7:35
7:48
8:03
422M
8:06
8:24
8:36
8:52
434M
13:10
13:27
13:40
13:56
442M
17:45
18:02
18:15
18:30
446M
18:46
19:03
19:16
19:31
452M
20:39
20:56
21:09
21:24
         ※ (臨)⇒臨時列車”秘湯めぐり号”
             4月29日〜5月5日運転 

上記赤字の便にて販売しております。
黒字の便にてお求めになりたい方、要連絡。
※ 赤字の便でも当方の事情により、販売できないこともあります。
また、まとまった数の購入をお望みの場合は、あらかじめ予約電話をお願いします。
※ 冬期間、降雪等の事情により販売できないこともあります。
あらかじめお問い合わせをいただければ幸いです。
                              ⇒TEL 0238(34)2301
なお、大きな駅みたいに、営業時間中ずっと駅構内にいるわけではありません。電車到
着にあわせて駅へ向かいますので、それ以外の時間帯は直接お店にお越しください。
⇒峠駅より徒歩1分
     ※ 山間部、携帯電話圏外のため、予約電話などは福島・米沢発車までに!
※ 天候、その他の状況を勘案して準備しておりますが、電車販売の時間帯と車にて来
店される方が集中する時間帯(13時台)がかぶるもので一時的に力餅の品切れ状態と
いうこともあります。また、13:23の電車ですべて売れた場合、4分後の13:27の電車
に販売できなくなることもあります。まれに13:23の電車が5分以上遅れる場合、逆も
あります。停車時間を1分2分強引に?引き伸ばしてもらえたのは昔の話。停車時間が
どんどん短縮される時代、予約も電車の1時間前位にいただけたほうが確実です。
         

  
こぼれ話ぽろり  ## おつり編 ##
30秒の停車時間。時間をロスする第一要因は金銭の受け渡し。都会の大きな駅ならキオスク
を利用、時間をロスして1本乗り遅れても10分も待てば次の電車が入ってくる。田舎はそうは
いかない。次の電車は3時間後という目に合う。こちら側の対策としては
@商品の1本化 お客様が複数の商品を前に選択するロスタイムをなくし、お買い上げ金額の
 暗算がすみやかに行える。
Aおつりの細分化ストック 750円のお餅なら250円ずつおつりの準備
B緊急手段 体を半分電車内に入れ、ドアを閉められないようにする(後で車掌さんににらま 
         れます)
1万円渡されてもすぐに9250円手元に出せることによって次のお客様を求めることができる
のですが……お客様が、がま口から小銭をジャラジャラ「ひい、ふう、みい…」と始めたらアウ
ト。車掌さんの懐中の時計が時を刻み、「ピィー」の笛音。冷や汗タラタラ、車掌さんとの冷戦勃
発。お札でしたらおつりの準備は万全ですが、小銭を減らしたいというかたは、駅に着く前に準
備していただけたらありがたいです(汗)。

こぼれ話ぽろり  ## 領収書編 ##
いつものように電車越しに餅を売っていたところ、電車から降りてきて餅をお買い求めになられ
たかたが一言。「領収書きってください!」これにはビックリお目目パッチリ。初めての展開。ほ
かのお客様に餅を売りつつ「あと10秒ほどで発車しますよ」と言うと、あわてて乗車。電車はト
ンネルに吸い込まれていった。30秒の停車時間での乗客との真剣勝負。領収書きるにはちょ
と時間が足りません。ゴメンナサイ。(どうしてもという方は電話で予約!?を)

こぼれ話ぽろり  ## カメラつきケイタイ編 ##
電車が停車。乗降口が開き、いろいろな人が顔を出す。足元かためた登山客。大きなバッグ
の湯治客。鉄道写真家。駅看板の前で記念写真を撮って再び乗り込む人。よく分かっていな
いが屋根に覆われた駅が珍しいと顔を出す人。それらのなかからお餅を買っていただけるか
否かを見極めるのが30秒間の密度の濃い楽しい仕事。お札を振りかざしてこちらに手を振る
かたはものすごくありがたい。車内をスタスタ「こちらに近づいてきたぞ」と思ったらお手洗いに
入っていかれて「なんだ、違うのか」というオチも。ここまでは10年ほど前から変わらぬ風景。
そこに最近1・2年で大きな変化が。”カメラつきケイタイ”。一眼レフと違いコンパクトなケイタイ
は電車のガラス越し・遠目にみるとお財布をにぎりしめているようにも見えるのでお餅を売ろう
と駆け寄るのですが、「パチリ」と撮られて、♪はいそれま〜で〜よ〜♪。まあ口コミの話題の
材料にでもなれば、しめたものですが……(イヤ トイウワケデハナイノデスガ、セメテ ヒトコト コトワッテ。ショウゾウ
ケン ガアルノデハ?)

こぼれ話ぽろり  ## あ・うんの呼吸編 ##
駅で餅を売っていておもしろいなと思うことがいくつかある。車掌さんの個性というか、仕事の
パターンを毎日のように観察できるのもそのひとつだ。自分は幼稚園のときから高校卒業まで
13年間、汽車で通学していたから、当時から現在まで現役の車掌さんはおおかたわかる。若
い車掌さんは只今じっくり観察中。車掌さんを観察するのは実は大変重要。お客さんの乗り降
りがないと、「早いんじゃないの〜」と思うくらいでドアを閉じる車掌さん。こちらは小走りに車内
をのぞいて「お餅いかがですか〜」とやらないと隅々まで乗客の確認ができない。1拍おいてド
アを閉じる車掌さんなら隅々まで売り声をかけた後グルッと見回して再確認できる。1拍以上
のんびりおく車掌さん。売り声出して行ったり来たり2往復・3往復してもまだドアが閉まらないと
間延びしてしまう。こちらとしては車掌さんのテンポを知ったうえで電車の中をのぞかないと、売
れるものも売りそびれたりしちゃうわけ。車掌さんと呼吸を合わせるのは本当に難しい。停車
時間を引き延ばしたりして迷惑ばかりかけてすみません。改めて最敬礼。

こぼれ話ぽろり  ## 電車が雨を呼ぶ!?編 ##
それは梅雨の時期に一番多い事実である。”泣き出しそうな空”という言い回しがあるが、降り
そうで降らない天気というものがある。いよいよ降ってきたぞ、と思わせておいて、数分もすれ
ば太陽が顔を出す。山では珍しくもない事象ではあるが、ここにひとつ、どうしても納得いかな
い・したくない現象が…。それは、知る人ぞ知る”電車が雨を連れて来る”現実。これは、雷様
がゴロゴロ言いつつも雨は降ってなく、お日様が顔を出している時に起きる。雷様はターゲット
(?)に動く電磁石、つまり電車にくっついて来る。電車が近づくと雨が降り、遠ざかると雨もや
む。これは私的側面から見ると、”峠駅に餅を売りに行く時だけ雨が降る”ということ。今でこそ
スノーシェッド内のホームだから業務上たいした影響はないものの、スイッチバックがあった
頃、ホームが屋根で覆われていなかった頃は、その一瞬の降雨に濡れながら餅を売った。し
かも電車が遠ざかると雨もやむ。「なんでやねん」とぼやいてみたくもなった、うれしくない現象
である。

先代からの聞きかじり  ## 旧型客車編 ##
これは、まだ「マッチ箱」と呼ばれた客車を使用していた頃の話。窓は手動開閉、乗降口のドア
も手動開閉なものだから、駅に停車しようと減速している汽車から飛び降りたり、発車して、加
速している汽車に飛び乗ったりする若い連中も少なくなかった。餅を売っていて困るのが、汽
車が動き出してから窓から顔を出して「餅をくれ」という客。汽車は徐々にスピードを増し、それ
に追いすがって餅を差し出す。ひどいときは、餅を窓に投げ込んで、代金を投げ落としてもらっ
たり、とあらっぽい取引。いや、もはや取引ともいえない気がする。代金をちょうどいただけたら
まだよいが、おつりが生じるときが大変。おつりを渡しそびれたり、逆に餅を持ち逃げ(餅逃げ
x)されたり。停車時間がタップリあるにもかかわらず、そうやってスリルを楽しむ人もいた。現
在の電車は、アッという間に速度が上がるから、餅を差し出すこともできない。そのかわりに、
代金未収でげんこつをくらうようなことにはならないのだが…(電車停車後、お早めにアピール
をお願いします)

先代からの聞きかじり  ## 紙幣は風に舞い、硬貨は雪に沈む ##
わずか数十秒の停車時間。様々なドラマ?事件?が起きる。なんといっても冬。手袋をしたま
まだとおつりを扱いづらいから直前に素手になるわけだが、手が強張ってしまって、受け取りそ
こなった硬貨は雪に沈み、雪解け後のホームには硬貨がちらほら。紙幣は紙幣で、突然の地
吹雪にもっていかれ、♪飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで〜回って回って回って回〜る〜♪

先代からの聞きかじり  ## トンネル、ボヤ火災編 ##
まだ、スイッチバックが廃止される前。福島側からの列車は、板谷駅を出た後、トンネルをくぐ
って、峠駅へ。後退して、トンネル内の引き込み線に。そして再び前進して次の大沢駅へ。前
述した旧型客車が現役の時代の話。峠駅の引き込み線は、地形上の理由でトンネル仕様とな
った。旧型客車のドアは手動開閉。トンネル引き込み線にて列車は10数秒停車。そして、洞
窟内部にでも入ったような闇と冷気。おもわず、ドアを開け放し闇に包まれた空間を楽しんだ
人は多い。(今で言えば、津軽海峡線で思わず海底下車してしまった感覚)身を乗り出して、ト
ンネルの壁に手をペタペタなどは誰もがやった。しばしば、タバコのポイ捨てが思わぬ事故とな
った。線路の枕木は腐敗防止のため油を塗っている。バラスト(砂利)敷きなので、トンネル内
はジメジメせずに、枕木は乾いている。次の列車が到着するまで誰もトンネル内の失火に気づ
かない。であるからして、トンネル内部からの煙に気づいた段階ではかなりの勢い…。現在、ス
イッチバック廃止の時点で引き込み線の線路も取り払われた。なんにしろ、タバコのポイ捨て
は危険であるのです。
  
・峠駅停車後、トンネル引き込み線へバックで進入する列車、その後本線へ入る。(右トンネル
 が上り本線、さらに右に下り本線)引き込み線は、現在線路はない。(入ってはいけないけれ
 ど、夏は涼しくて快適だろうな〜)

                                               2008.3.15改訂